概要

複雑化は、もはやIT部門だけの課題ではなく、経営戦略上の課題です。

ビジネスへの財務的影響:

企業はデジタルインフラの複雑化が一因となり、年間平均14件のイノベーション施策を実行できていません。その機会損失額は平均で€508,000にのぼります。

インフラの複雑化により、企業は昨年平均で累計7週間の遅延を経験しており、1週間あたり€140,000以上の価値が失われるリスクにさらされています。

複雑化による影響は、特に「AI活用とイノベーション」「セキュリティ」「業務効率」の3つの領域で顕著に表れています。

これらすべての領域で共通しているのは、IT環境が複雑化するほど、企業が自信を持って迅速に意思決定・行動することが難しくなる点です。デジタルインフラが複雑化し、変革が容易に行えなくなると、企業の競争力や成長への挑戦意欲も低下してしまいます。

本レポートでは、日本、英国、フランス、ドイツ、オランダの企業における600名の経営層・意思決定者を対象に、デジタルインフラの複雑化にどのように対応しているかについて調査しました。

73%

変革プロセスを推進するために外部専門家によるレビューを検討している企業

91%

複雑化が新技術導入の妨げになっていると回答した企業

68%

資金不足やアイデア不足よりも「複雑さ」の方が大きな障壁であると考えている企業

1. インフラの複雑化がAI活用の推進を妨げる

多くの企業はアイデア不足ではなく、すでに高度なデータ分析、業務自動化、AI活用サービスへの投資を進めています。
しかし、そのような取り組みの多くは、大規模かつ迅速な実証実験や部門横断的な連携を前提として設計されていない既存のIT環境上で進められています。
その結果、AI活用やイノベーションの推進がインフラの複雑さによって制約を受けています。

Bar charts show 69% of leaders warn complex infrastructure risks errors, 62% say it raises cyber risk.

2. 複雑化するインフラがセキュリティの脆弱性を生む

デジタルインフラの多層化が進むにつれ、企業は環境全体を把握し、適切に保護・管理することが難しくなっています。その結果、設定ミスや可視性の欠如によるリスクが増加し、サイバーセキュリティだけでなく、コンプライアンスや企業ブランドにも影響を及ぼす可能性があります。

3. インフラの複雑化が業務効率を低下させる

業務システムの分断、複数のポータルの併存、重複した業務プロセス、責任範囲の不明確さによって、日々の業務は非効率になり、対応に時間を要するようになります。
そのコストは金銭的なものだけではありません。本来の業務を進める代わりに、チームは調整や問題解決、リスク説明に多くの時間を費やすことになります。

A graph showing how often Digital Infrastructure complexity issues cause frustration across groups
新しいテクノロジーの価値は、小規模な実証実験では十分に発揮されているように見えます。

しかし、それを複数拠点やグローバル規模で展開しようとすると、インフラの複雑さが表面化します。

拠点ごとに環境や顧客システムが異なるため、そこで初めて本当の課題が見えてくるのです。

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設計原則としてのシンプル化

複雑化への現実的な対応とは、IT環境が完璧になるまで変革を止めることではありません。

シンプル化は、イノベーションのスピードを落とすことではなく、イノベーションを継続的かつ安全に、そして拡張可能なものにすることです。複雑化への対応に成功する企業は、あらゆる意思決定にシンプル化の考え方を取り入れています。不必要なツールを減らし、責任範囲を明確にし、システム連携と可視性を高め、運用負荷を増やすのではなく軽減できるパートナーを選択しています。

分断されたシステム環境

企業は平均して16種類のベンダー、プラットフォーム、ツールを利用しており、自社システムが完全に統合されていると回答した企業はわずか18%でした。

低下する業務効率

回答者の48%は、デジタルインフラが多層化すると、チームは本来の計画業務よりも問題対応やトラブルシューティングに多くの時間を費やしていると回答しています。

技術的負債(テクニカルデット)

51%の企業が、レガシーシステムの複雑さや技術的負債(テクニカルデット)が、デジタルインフラの最適化を妨げる最大の要因であると考えています。

今後の方向性

73% of respondents would consider an external review or strategy to simplify or optimise their digital infrastructure.

調査について

2026年2月から3月にかけて、Coleman Parkesは、日本、英国、フランス、ドイツ、オランダの5か国において、自社のデジタルインフラに関する知識を持つシニア意思決定者600名を対象に調査を実施しました。回答者は、金融、製造、プロフェッショナルサービス、小売、運輸、防衛分野の企業に所属しており、いずれも従業員数2,000名以上の企業です。

Coleman Parkesについて

Coleman Parkesは、IT・テクノロジー分野の調査を専門とするB2B市場調査会社です。中堅企業から大企業まで、さまざまな業界のシニア意思決定者を対象に、グローバル規模で市場調査サービスを提供しています。

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